2024.03.28 Thu
GU創業本当の目的推察とユニクロが変革させたアパレル業界
ユニクロアパレル経済圏の軌跡
ユニクロは、株式会社ファーストリテイリングが運営する、ベーシックなアイテムをメインとしたカジュアル衣料品のブランドです。1984年に広島県広島市で創業されました。
ユニクロのブランド名は、「Unique Clothing Warehouse」の略で、「ほかでは買うことのできない良いカジュアルファッションを、お客様が自由に選び買うことができる」という意味が込められています。
ユニクロは、高品質な商品を適正価格で提供することで、世界中の人々に愛されるブランドへと成長しました。2023年には世界26の国と地域で約3,500店舗を展開しています。
ところがユニクロは、同じようなカジュアルファッションブランドであるGUを2006年3月に創業させています。ユニクロよりも22年後に設立されたことになります。
2006年といえばすでに国内で不動の業界地位を確立していたユニクロですが、どうして22年も経過してからGUを展開しようとしたかが気になるところです。
ユニクロのカンフル剤的なポジショニングでGUを設立したと語る柳井正会長の記事を見たときにそのまま鵜呑みにしてしまいましたが、果たして世界企業の創業者が果たして手の内をインタビューで答えるだろうか、という疑問について推察していきます。
ユニクロとGUの関係性
ユニクロとGUは、両方ともファーストリテイリンググループによって展開されています。ファーストリテイリングは、両ブランドを異なる市場セグメントや顧客層に向けて位置付けています。
ユニクロは、主に高品質で機能的なベーシックなアパレル製品を提供し、幅広い年齢層やライフスタイルに向けて展開しています。一方、GUは、よりカジュアルなスタイルとリーズナブルな価格帯の衣料品を提供し、若い顧客層やファストファッション市場をターゲットにしています。
ファーストリテイリングは、これらの異なるブランドを通じて、多様な顧客層をカバーすることで市場シェアを拡大し、競争力を強化しています。同じグループで異なるブランドを展開することで、それぞれのブランドが独自の市場ニーズや顧客層に焦点を当てることができ、グループ全体の収益を最大化する戦略となっています。
ユニクロとGUは製造資源の同じ別ブランド会社
GUの真の目的は競合排除
これは完全な推察となりますが、
- GUはユニクロの競合他社を前もって排除
することが主たる目的であると考えられます。
実はユニクロ店舗の近隣や隣接するテナントなどにGUの店舗を構えています。
確かに製造や流通資源を共有することでセブンイレブンのようなドミナント式のアドバンテージを得られ、競合が入りにくくすることが可能になりますが、セブンイレブンとの大きな違いは、別のブランド企業であるという点です。
さらに廉価で最新のトレンドや前衛的なデザインアパレルであれば、ユニクロであっても十分なはずですが、あえてGUという競合ブランドを展開する理由は、ドミナント式にさらに競合他社の参入を徹底的に排除するということがGUの主たる目的であると推察できるわけです。
地域密着型のアパレルブランドはいくつかありますし、ファッションセンターしまむらやスーパーの店舗上階にある衣料品コーナーがすぐにユニクロの脅威となる未来を2000年代より前にすでに察知していたに違いありません。
これらの、準ユニクロ予備軍のアパレルメーカーは事業チューニングひとつで、かつてユニクロがそうであったように、アパレル業界のシェアを一転させる潜在能力を持っていることに、ファーストリテイリングは気が付いていたからに他ならないからでしょう。
- 飛びぬけて優れた経営事業者は、未来の多くのことが見えている
おそらく一般人の30倍から100倍近く、イメージビジョンや世の中の動向、決断力や判断力の差があります。それは小学二年生と大学教授くらいの開きがあるといっても大げさではないでしょう。
将来的にユニクロの競合が出現することは、ユニクロがアパレル業界を完全に変革するだいぶ前の段階で予見し、確信していたに違いないです。
ですので、ユニクロを凌駕しうる競合ブランドとして自分たちのグループでGUを先手を売って展開していたことは、十分納得できる選択であるといえるのではないでしょうか。
まさにファーストリテイリング社の柳井一族は、
- 衣料業界におけるユニクロアパレル経済圏
によって世界を席巻しようと考えており、競合の出現を抑止し排除するためにGUを展開することで、”より堅牢な業界内におけるユニクロアパレル経済圏を盤石にすること”を最大の目的とするといろいろと納得できる点が多いといえます。
GU創業の目的は競合他社の排除と推察
ユニクロが塗り替えたアパレルブランド業界
ユニクロの出現は従来のアパレルブランドの製造から流通まで一気に変革をもたらしました。
低価格で画一的で非個性的デザインでありながら、ある程度の裕福な世帯まで浸透させ、
- 制服ジャージデザインアパレルの市民権獲得
を成功させた点が大きな特徴といえます。
1. ファーストリテイリングの柳井正氏が語るユニクロの成功要因
ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングの柳井正氏は、ユニクロの成功要因について以下のように語っています。
- SPA(製造小売業)モデルの導入
- 徹底したコスト削減
- 高品質な商品を適正価格で提供
- グローバル展開
2. ユニクロの革新的なビジネスモデル
ユニクロは、SPA(製造小売業)モデルを導入することで、従来のアパレル業界のビジネスモデルを大きく変えました。SPAモデルでは、商品企画から製造、販売までを一貫して自社で行うことで、コスト削減と品質向上を実現しています。
3. ユニクロがもたらしたアパレルブランド業界の変化
ユニクロの成功により、アパレルブランド業界は以下のような変化を余儀なくされました。
- 低価格化競争の激化
- SPAモデルの普及
- グローバル化
4. ユニクロの今後の課題
ユニクロは、今後も成長を続けるためには、以下の課題を克服する必要があります。
- 競争激化への対応
- 新たな市場の開拓
- サステナビリティへの取り組み
ユニクロは、革新的なビジネスモデルと徹底したコスト削減、高品質な商品を適正価格で提供することで、アパレルブランド業界を完全に塗り替えました。
さらにGUという競合ブランドをすでに自社で展開しており競合他社の入り込む余地を排除しているのも、従来のアパレルブランドとは全く異なる戦略といえるでしょう。
多種の飲食チェーンを展開する複数のグループ企業ではすでにこの手法で飽和状態を引き起こしています。
しかしユニクロの場合はアパレル業界自体が古い慣習にとらわれている競合他社が多いため独り勝ち状態を持続できているのかもしれません。
ユニクロとGUから学ぶことは業態問わずたくさんあります。近い将来には医療業界や不動産業界、自治体の行政サービスなど、旧態依然の制度下の影響が強い業界でも、必ず大きな変革が起こる可能性が高いといえます。
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