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2025.06.02 Mon

発信者情報開示命令申立てとe内容証明

生活施術

発信者情報開示命令申立てとe内容証明のイメージ

発信者情報開示命令申立てという非訟事件

ネット上で誹謗中傷や名誉毀損の被害を受けた時、「相手が誰かわからない」「泣き寝入りするしかない」と諦めていませんか?

実は、2022年10月から新しい制度がスタートし、これまでよりもずっと簡単に、そして短期間で相手の身元を突き止められるようになりました。

今回は、被害者の強い味方となる「e内容証明郵便」と「発信者情報開示命令申立て」について、法律の知識がない方にもわかりやすく解説します。

従来は費用も時間もかかる複数の裁判がそれぞれ必要でしたが、新制度では一つの手続きで、IPアドレスから発信者の住所・氏名まで、段階的に開示を求めることができるようになりました。


e内容証明郵便とは何か

e内容証明郵便は、インターネットを使って24時間いつでも送れる内容証明郵便のことです。
従来の窓口受付では郵便局の営業時間内に行く必要がありましたが、e内容証明なら24時間365日いつでも自宅から送信できます。

文書作成も画面上で簡単に行え、料金もクレジットカードで決済可能です。

従来の窓口受付の場合
  • 郵便局の営業時間内に窓口に行く必要がある
  • 文書を3通作成して割り印をして持参
  • 待ち時間が発生することも
  • 平日の昼間しか利用できない
  • 手続きや書式制限が多い
e内容証明の場合
  • 24時間365日いつでも送信可能
  • 自宅からパソコンで完結
  • 文書作成も画面上で簡単
  • 料金もクレジットカードで決済
  • 手続きや書式制限も軽減されている

2024年10月より郵便料金が一部改定され、e内容証明郵便にかかる基本料金は変更されており、内容証明の部数によっても料金が変動するので注意が必要です。

通常のe内容証明郵便は、1500円から2500円前後が必要な費用の目安となります。

ただし多くの人が誤解していますが、内容証明郵便自体には法的な強制力はありません。

「法的効力がある特別な郵便」ではなく、あくまで「いつ、誰が、何を伝えたかを郵便局が証明してくれるサービス」です。

内容証明の真の目的は、相手に「本気度」を伝える心理的圧力と、後の裁判で「警告していた」証拠として使用することです。また一定条件下では時効の中断効果もあり、交渉の糸口作りにも役立ちます。

内容証明を送っているかどうかで、裁判での印象は大きく変わります。「事前に話し合いを求めていた」「相手に改善の機会を与えていた」という事実は、裁判官に「筋を通した対応」として評価されることが多いのです。

非控事件は相手なき裁判だからシンプル

発信者情報開示命令申立てについて

裁判所が、SNSやネット掲示板の運営会社、インターネットプロバイダに対して「この投稿をした人の情報を教えなさい」と命令する制度です。従来は「訴訟」という重い手続きが必要でしたが、「命令申立て」という軽い手続きで済むようになりました。

従来の発信者情報開示請求訴訟では、まずIPアドレス開示のための裁判に数ヶ月、次に住所・氏名開示のための裁判にさらに数ヶ月かかり、合計で1年以上、費用も数十万円必要でした。
弁護士なしでは実質的に困難な手続きでした。

2022年10月施行の改正プロバイダ責任制限法により導入された新しい発信者情報開示命令申立てでは、一つの手続きで段階的に情報開示が可能となり、期間は2から4ヶ月程度、費用は数千円から数万円程度で、本人申立ても現実的に可能になりました。

従来の発信者情報開示請求訴訟
  • まずIPアドレス開示のための裁判(数ヶ月)
  • 次に住所・氏名開示のための裁判(さらに数ヶ月)
  • 合計で1年以上、費用も数十万円
  • 弁護士なしでは実質的に困難
新しい発信者情報開示命令申立て
  • 一回の申立てでIPアドレスから住所・氏名まで一括取得
  • 期間は2〜4ヶ月程度
  • 費用は数万円程度
  • 本人申立ても現実的に可能
開示請求とは全く違う申立て制度

発信者情報開示命令申立てに必要なこと

この申立てを行うには、権利侵害の明確化が必要です。名誉毀損、プライバシー侵害、著作権侵害などで、具体的にどの投稿・書き込みが問題なのかを特定し、なぜその投稿が権利侵害にあたるのかを説明する必要があります。

証拠の保全も重要で、問題投稿のスクリーンショット、URL、投稿日時の記録、被害状況を示す資料が必要です。

また、なぜ発信者を特定する必要があるのか、他に解決方法がないことの説明も求められます。

1. 権利侵害の明確化
  • 名誉毀損、プライバシー侵害、著作権侵害、業務妨害、信用毀損、肖像権侵害など
  • 投稿内容が債務不履行(例:契約上の誠実義務違反)や不法行為(民法709条)に該当する場合、その法的評価に基づく損害主張も可能
  • 具体的にどの投稿・書き込みが問題なのかを特定
  • なぜその投稿が権利侵害にあたるのかを説明
2. 証拠の保全
  • 問題投稿のスクリーンショット
  • URL、投稿日時の記録
  • 被害状況を示す資料
3. 必要性の証明
  • なぜ発信者を特定する必要があるのか
  • 他に解決方法がないことの説明

必要な費用については、裁判所への申立手数料が1,000円(各申立てごと)、郵便切手代が数千円程度です。弁護士に依頼する場合は別途10〜30万円程度の費用がかかりますが、従来の数十万円と比べると大幅に負担が軽減されています。

しっかりとした要件事実が必要

発信者情報開示命令申立ての手順

基本的な流れとしては、まず証拠収集・整理を行います。問題投稿のスクリーンショット作成、投稿URL・日時の記録、被害状況の整理を行います。

次に申立書を作成し、裁判所の書式に従って権利侵害の内容を具体的に記載し、開示を求める理由を明確に説明します。そして管轄裁判所(通常は地方裁判所)に必要書類と費用を一緒に提出します。

その後、プロバイダ等に申立て内容が通知され、相手方の意見書提出(通常2週間程度)を経て、裁判所が書面審理を中心に判断し、開示命令または却下の決定を行います。

重要な注意点として、掲示板などのログ(通信記録)は通常3〜6ヶ月で削除されるため、被害に気づいたらできるだけ早く行動することが重要です。

また投稿が削除される可能性があるため、まずはスクリーンショットとURLの保存を確実に行いましょう。

プロバイダの本店所在地を管轄する地方裁判所への申立てが必要なので、事前に確認しておくことも大切です。

手順はとてもシンプルになっている

被害者救済が不可能な制度の是正

これまでのネット被害では、圧倒的に加害者が有利でした。

被害者は複数回の裁判で1年以上の期間、数十万円から百万円超の費用負担、弁護士なしでは事実上不可能な手続き、証拠が時間経過で消失するリスクを抱えていました。

一方で加害者は匿名性による心理的安全感があり、被害者の諦めを前提とした悪質行為や、仮に特定されても「時間稼ぎ」が可能でした。

発信者情報開示命令申立て制度により、状況は大きく改善されました。

被害者にとっては一つの手続きで完結し(2〜4ヶ月)、費用負担も大幅軽減(数千円から数万円程度)され、本人申立ても現実的に可能となり、迅速な対応で証拠保全も容易になりました。

また抑止効果も向上し、悪質な書き込みへの心理的ハードルが上昇し、「バレない」前提での行為が困難になり、早期の身元特定により示談解決も促進されるようになりました。

ただし改善されたとはいえ、完全ではありません。

海外サーバー経由の場合は対応困難で、匿名化技術の悪用には無力、開示されても相手に資力がない場合の救済不足といった制度的限界があります。

また身元特定ができても実際の損害賠償は別問題で、精神的被害の金銭評価の困難さや、加害者の支払い能力による制約といった被害回復の壁も残っています。

加害者優位の法制度

ネット被害の今後と対策の有効性

SNS利用者の急激な増加、匿名での発信機会の拡大、デジタルネイティブ世代の表現手法の変化、コロナ禍でのオンライン活動の増加などを背景に、ネット被害は今後も増加すると予想されます。

多くの外食チェーン店でも従来は泣き寝入りまたは示談で解決していた事案も、ネットでの悪質な情報拡散による損害は甚大で、加害者に対しては厳重な法的対処を実施する企業も多くなっています。

新しい発信者情報開示命令申立て制度は、一般人でも利用しやすい手続きによるアクセスの改善、証拠が失われる前の対応が可能な迅速性、費用負担による諦めを防ぐ経済性、悪質投稿への心理的ブレーキとなる抑止効果、早期特定による示談機会の増加という解決促進の面で、従来制度より優れています。

ネット社会が発展し続ける中で、この制度は被害者救済の重要な武器となります。ただし制度を知らなければ活用できません。

被害を受けた時は一人で悩まず、新しい制度の活用を検討することが大切です。

e内容証明郵便と発信者情報開示命令申立ては、ネット被害に立ち向かう強力なツールです。

完璧な制度ではありませんが、従来と比べて大幅に改善された被害者救済の仕組みとして、積極的な活用が期待されます。

ノウハウ知識をつけることが抑止力になる

  • 著述者:朝倉哲也 / Tetsuya Asakura

    クラウドソーシング専門サービスWebCreatorCloudProject TRIBECA統括責任者。Webクリエイター/Webディレクター。


  • 著述者:T-9N / TohKun

    人工知能(ChatGPT/Geminiベース)のジェネレーターAIのアンドロイド型AIスタッフT-9N(トークン)。

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