2024.01.24 Wed 2024.02.08
欲しいの理由と消費行動の考察
購買心理からマーケティング
もしあなたが新しく会社を立ち上げたり、新規事業を展開するとした場合にいちばん最初に考えることはなんでしょうか。
ほとんどの方は
- 『どうすれば上手く収益が上がるのか?』
ということがほとんどかもしれません。
いつどこで、だれがどのように欲しがるかという、まさに5W1Hのようなマーケティング思考は必須事項で、もはや偶発的な要因ではビジネスがなりたたないことを誰もが知っているといえるでしょう。
今回は商品やサービスの売り方や宣伝の方法ではなく、マーケティング以前の段階の根本となり重要な要素となる『人が欲しがる理由』についてわかりやすく端的に掘り下げて、あわせて当社独自の見解を深めさせていだだきます。
もちろん、検討違いな視点や考察も含まれているかしれませんが、新しい事業や会社を運営していくうえでは、マーケティングの基礎研究部分も大切だと考えておりますので、あくまでも一つの推論という前提で役立つ検証内容としてご参考にしていただければ幸甚に存じます。
欲しいという購買動機の考察
人や市場がある商品やサービスを欲しがる要因や理由は明確です。
人や企業の消費活動や購買動機の理由は、おおよそ3つにわけられます。
- 必要性の動機
- エモーションによる動機
- 動力学の動機
基本的に人の購買動機は、この3つのどれか、または組み合わせで成り立っているといえると考えています。
❶ 必要性動機の考察
- これは、生きる為に必要な消費が主な対象です。
社会生活を安全かつ支障ない範囲で過ごすための最低限度の衣食住や、仕事や趣味、事業や生活において”どうしても必要なもの”が対象になる購買行動です。
ほとんどが、なくては困らモノとなるので、必ず消費が見込めるマーケットです。
日常生活に必要な購買活動の全般が該当します。
個人や企業により個別の必要度の誤差は生じますが、ほとんどの場合は購買者が”必ず必要と感じている対象”への消費となります。
ですので、プル型のセールスで売れますしプッシュ型セールも可能ですが、あくまでも購買者が必要以上のニーズは感じていないため、より安価で品質の良い商品サービスが流通しやすいのが必要性の消費の特徴です。
企業でいえば販売管理費にあたる消費が近しいかもしれません。
ランニングコストにあたるので、可処分所得のなかでも必ず一定金額確保される範囲で消費される市場と言えます。
ですので、確かに必要ではありますが、確度や環境が変わればあらたにニーズを生み出すことも可能ですし、ムダな出費の対象ともなりうる双極性の性質がある消費になると言えます。
❷ エモーション動機の考察
エモーションによる動機とは、必要性による動機とことなり、より人間の感情や心情的な要因より引き起こされる購買動機です。
たとえば高価な奢侈品(しゃしひん)や嗜好品(しこうひん)はエモーショナルな購買理由から消費されるケースが多く、衝動買いや贅沢品などの購入はエモーションによる消費といえます。
もちろん社交上の必然性や節税対策など、ある要素では必要性の消費といえる見方もできますが、費用対効果が購入する人によって大きく変動するふり幅ある消費活動といえます。
旅行や衝動買いなどの、ほとんどの方が出費をしなくても日常生活に大きな支障はない出費となり、金額は大きくなる傾向が高いです。
必要性の消費では、安価な対象を好み節約や倹約をされる方であっても、エモーショナルな消費は、金銭感覚のリミッターが無効化されてしまいやすく、付加価値と体験を得るための消費活動となることが多いようです。
ですので、エモーション消費は金額の上限はなく、高額な消費になりやすい特性があります。
❸ 動力学動機の考察
最期の購買動機の分類ですが、力学による動機となります。
動力学による購買動機とはどういうことになるかというと、主に外的な要因から購買活動に対する影響を受ける消費です。
一見、自発的な購買活動に見えますが、消費することの実体は、外的な影響や原因によって消費が発生している点です。
- 世間体と付き合いで仕方ないという消費行動
は動力学消費の最たるもののひとつです。
見方によっては必要性の消費と性質が重なる点がありますが、実は立場や環境が変化することで全く必要のない消費活動であることが特徴となります。
エモーション消費と類似する特徴があり、必要な人には必須の消費となりますが、まったく必要ない人にとっては全く価値のない消費形態になります。
必要性の消費は、人間の生活や暮らしに密接にかかわる部分があるため、多くの人が類似性のある消費活動を行うのに対して、エモーション消費や動力学の消費は、性別や年齢、職業や所属コミュニティ、思考や行動規範などにより大きく違いがあります。
その分ターゲットマーケティングしやすく、高い利益率を確保できる可能性がありますが、市場は限定されやすく、時勢や社会情勢などにより一気に変動しやすい傾向があります。
以上のように、私たちが社会生活で実行する購買活動は、ほぼ上記のうちのどれかひとつ、または複数の組み合わせによる理由から”欲しいという購買動機”または”欲しなければならない外的要因による購買動機”が生じているといえるでしょう。
これら消費活動における動機の種類を認識することで、自身の取り扱う商品やサービスが、どのような方法でどこのセグメントに対してプロモーションを実施すれば良いかの重要な指針が得られる可能性が高まります。
そして個人も企業も、経路や割合がことなるだけで、いずれかの購買動機が必ず当てはまるようになっています。
欲しがる理由はたったの三種類
消費行動のタイミング
前章では、人や企業が欲しがる理由の種類について説明させていただきました。
ここでは次のステップである、欲しいという欲求を具体的に実行に移す、消費活動の常用や行動するタイミングについて考察していきます。
実は、消費行動のタイミングや要因についても、購買動機と同じロジックによって実際の購買活動が実行されることがほとんどです。
- 必要性における消費
- エモーションによる消費
- 動力学に影響される消費
購買意欲やその動機があっても、実際の消費活動にはそれを行使するための原資、つまり資本が必要となりますが、可処分所得の過多とは無関係に消費行動が行われてしまう場合があるため、消費と資産は相関関係があるわけではないといえます。
❶ 必要性における消費
必要性における消費行動は、かならず支払が必要な固定費またはそれに近しい消費項目が対象になることがほとんどです。
会社でいうところの販売管理費の一部も必要性消費が行われる場合がありますが、基本的には固定費のように”支払わないと生活が脅かされる半強制的な消費”の行動です。
税金や地代家賃、通信費や水道光熱費、各種ローンや日用食料品など調整がむずかしい固定費は、より必要性における消費行動となり、公的影響が大きい消費になればなるほど、その市場はかなり巨大なマーケットであるといえます。
必要性による消費のタイミングは一定期間で生じることが多く、近年あらゆる業態の商品サービスがサブスクリプション方式を採用していることからも消費タイミングを待たないことに最大のベネフィット含まれていることが伺えます。
❷ エモーションによる消費
エモーションによる消費行動は、主に感情的主観によって実行される消費です。
衝動買いなどに代表される消費活動がわかりやすいエモーショナルな消費行動であり、タイミングは不定期的なので売り手側が設定して演出していくことも多いでしょう。
主に情緒的な理由からの消費行動となるため、企業の経営者が思いつきや私的感情を主な理由として新規事業に投資するような行動もわかりやすい例となります。
とにかく合理的な理由とはいちばん乖離した消費行動であるため、予測や分析がむずかしい反面、大きな利益を短期的に上げやすい特徴もあります。
ですので、安定した市場形成をするためには動力学や必要性と結びついている必要がありますし、エモーションによる消費の度合いが強ければ強いほど、収益の乱高下や市場の伸縮も大きいため、難易度は高いものの一度市場が加熱すると少ない投資で莫大な収益を産みやすいのが特徴です。
ファン心理などを対象した市場も、エモーションによる消費の典型の一つとなり新興市場が形成されやすい消費行動圏といえます。
❸ 動力学に影響される消費
動力学に影響を受ける消費行動は、多種多様な状況や要因から実行されます。
一見、必要性による消費と似ている印象がありますが大きな特徴としては『半ば強制でありながら建前上は任意の消費活動』としている点があります。
実は、マーケット開拓には動力学による消費がいちばん有利な面が多く、まるでニュートンの運動法則のように、慣性の法則、運動の法則、作用反作用の法則という複数の営業的力学の影響を受けるからです。
タイミングも等速直線運動のように一定のスパンで安定して自動的に発しするタイプから、さまざまな外的要因により商品ロットや消費額の幅、時期の不同一性や突発性など、先々の消費のタイミングが読めない点があります。
安定的な消費タイミングで例えるならば、全然世の中の必要とされていない商品サービスであっても、動力学な消費に組み込ませることができれば、安定的な消費行動の恩恵を受けることが可能で、物流だけで利益をあげることができます。
ただし、実際の消費欲求に対しての商品開発やサービス提供でない場合もあり、競争原理も影響しにくいある種のガラパゴス市場のやや無機質な消費行動といえます。
要するに、お膳立てがすべてできている予定調和をもとにした消費行動で、企業取引であれば決済担当者にキックバックなどの利益供与をすることで生じる単純な消費です。
利益相反に基づく消費行動が主軸となりやすいですが、市場原理は極めてシンプルであるため短期間で一気に増幅する可能性もあり、動力学に影響される消費経路に参画できれば、安定的な利益を上げやすいといえるでしょう。
ただし、市場の競争原理にたいしては反比例する消費が多いため、ちょっとしたきっかけをもとに、一気に瓦解する可能性がいちばん高い消費行動となります。
消費が実際に行われるタイミングや要因は、上述のいずれか、または組み合わせによるものがほとんどです。
このように購買心理の原因やマーケットの本質的な姿を根本的に理解することで、消費者が欲する理由や場所、シチュエーションを選定しやすくなります。
あとはご自身や自社のサービスや商品をどのようにプロモーションしていくかのトライ&エラーを継続することのみとなるでしょう。
ビジネスセミナーや座学講座などは、さも一つの定説に基づいてマーケティングができて市場形成されているように解説されることも多いのですが、微妙な市場の機微と購買意欲のタイミングの組み合わせで消費は流動しているので、つねに柔軟な発想でつねに新しい挑戦を施策をしていくことが大切です。
消費行動のタイミングも主に3種類のみ
購入決定は価格が絶対ではない
欲しがる理由や消費行動のタイミングが理解できれば、あとは価格と広告で概ね勝負がつくだろうと想定されるかもしれません。
確かに一般市場において価格設定は極めて重要な要素であることは間違いありません。
ただしそれは、価格を前提とした消費行動が活発な市場においてのみです。
感情的な消費や動力学的な消費圏では『価格設定はほとんど意味がない場合がある』といえるでしょう。
趣味や娯楽に大枚を投下する市場を知っているだけで、商品やサービスが値段ありきではないことを理解することができます。
特に実質的価値や対価の著しく見合わない商品やサービスにおいては、価格が安いよりも日常とは乖離したような価格設定でも消費行動を行わせることが可能なのです。
とはいえ、対価や等価交換に大きく外れてしまうと、その商業圏は直ぐにシュリンクしてしまうため、あくまでもある程度のリカバリーが効く範囲での料金設定や値段調整が大切であることがきわめて重要であるといえます。
高い利益がでても顧客償却率が高い事業寿命は短い
消費の行動原理はとてもシンプル
今回は、人が商品やサービスを欲しいと考える理由や実際に消費を決定するタイミングについてご案内させていただきました。
原理原則自体はとても明瞭でわかりやすいものの、どのように消費者に知ってもらい、消費者心理に訴えて購入してもらうかの理論は、まったく別次元の攻略が必要といえるでしょう。
ただ、購買理由を分析するだけでも消費者に対して最善の提案やサービス提供はしやすくなりますし、どのような理由で商品やサービスを購入してくれたかということを増幅していくことで、より売上が上がりやすくなることは明白です。
システマティックに積み重ねていくことによって、より消費者の購買意思決定をスムーズに促し、提案する切り札も間違えることはなくなるかもしえません。
ここでは、具体的な販売戦略や商圏へのアプローチ方法は説明しませんが、まずは目の前のマーケットがどういう理由から、どのような商品やサービスを求めているかを理解して、どのタイミングと要因をもとに購買することを決定するかを考察するだけで、より顧客満足度をあげるための商品やサービス提供がしやすくなることは間違いありません。
どうしても行き詰ったときは、自分の消費活動は、いつ、どのようなところで、何を見て、どういう理由で購買を決定したかをいくつも自己分析することで、市場へのアプローチ方法は効率的になり、より品質の良い状態を維持しやすくできるのではないでしょうか。
消費の理由は実は2つか3つで決められている
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