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2024.12.03 Tue

衝撃の同日申請?船井電機と旧ビッグモーターの明暗

仕事施術

衝撃の同日申請?船井電機と旧ビッグモーターの明暗のイメージ

船井電機と旧ビッグモーターが同日に民事再生法の適用申請

2024年12月2日に破産手続きの開始決定を受けた電気メーカー「船井電機」の原田会長が「破産するまでには至っていない」などとして、船井電機の民事再生法の適用を東京地裁に申し立てた。

ちなみに元自民党衆院議員の原田会長は2024年9月に就任したばかり。

ところが船井電機はすでに2024年10月24日に負債総額約461億円で破産手続開始決定が出されているのだ。

同日、株式会社BALM(バーム/旧株式会社ビッグモーター)は、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、監督命令を受けたことが明らかになった。

これによりビッグモーターは民事再生法が適用され、借金の減額や返済期間の見直しが裁判所の管理のもとで行われる予定となっている。

なにかと話題の多い二つの大きな企業が同じ日に民事再生法を申請したことがわかった。

どちらもいわく付きと言っても差し支えないほど世間を騒がせた大企業だが、両社の民事再生法申請までの経緯と今後について推察してみる。


冥府へ堕ちた船井電機

船井電機は1961年の創業以来、トランジスタラジオやラジカセ、VHSビデオなどで成長し、特に北米市場で成功を収めてきた。

もともとは、創業者の船井氏が1951年に個人経営のミシンの卸問屋「船井ミシン」として創業したのがスタートとなっている。

その後、北米市場を中心にOEM(相手先ブランドによる生産)およびODM(相手先ブランドによる設計・製造)を事業の柱に据え、一時はデジタル家電で大きく売り上げを伸ばし、高収益企業としてメディアの注目の的となった。

だが、2000年代以降は中国メーカーとの競争激化により業績は大きく低迷することに。

2017年、ヤマダ電機との協業により国内市場回帰として路線転換を図り、「FUNAI」ブランドで日本市場に再参入。

4Kテレビと4Kブルーレイレコーダーに注力したが、経営は好転せず業績は悪化し続けた。

2021年5月、船井電機は出版会社である株式会社秀和システムホールディングスに買収される。

このTOBによって、船井電機は上場廃止となる。

驚くべきことに、秀和システムは買収資金としてりそな銀行からまだ買収していない船井電機の現預金を担保として船井電機を買収したとされている。

その後、秀和システムにより関連会社への貸付金として約300億円が流出し、現預金がほぼ尽きたと報じられ、この資金流出が経営悪化の一因とされている。

「世界のFUNAI」として名をはせた船井電機は、2024年10月24日に創業家出身の取締役が「準自己破産」を東京地裁に申し立て、破産手続きの開始決定を受けた。

破産申請は通常、法人や法人への債権者が直接行うが、今回は取締役や理事などが個別に法人の破産申請をしたケースに該当する。

破産手続きの開始決定を受け、全従業員およそ2000人を解雇したことで、社会に大きな衝撃を与えた。

ただ、12月2日の原田会長の会見では、船井氏が2024年10月15日時点でみなし株主総会決議により解任されており、破産法上の形式要件を欠いている主張している。

謎多き大企業倒産劇

冥路を徐行するビッグモーター

ビッグモーターは、中古車販売や車検、修理、板金塗装、損害保険、リースなど、自動車に関するさまざまなサービスを提供するワンストップ型の直営店を全国に展開していた会社。

1976年に元代表取締役の兼重氏が、出身地の山口県岩国市で創業。

自動車販売から買取・車検・修理・板金塗装・損害保険・リースなど、自動車に関するサービスすべてに対応。

その後、全国の関連事業企業を買収と吸収を繰り返し、規模を拡大するが、1997年や2011年には子会社の解散や資本金等の減資を行うなど、徐々に縮小していった。

ところが、2022年にはビッグモーターは過去10年で売り上げを8倍に伸ばし、業績を急速に拡大していることが、いくつかの水面下で露見した不祥事とともに話題になっていった。

中古車の板金・塗装部門で故意に顧客の車を破損させ、自動車保険の保険金を不正に請求していたことが明らかになり、社会に大きな衝撃が走った。

さらに、不正に請求していた保険金の返還や自社が運営する民間車検場の指定取り消し報道などの影響で大幅に減益することに。

翌年2023年からは特別調査委員会を設置し、下請け業者への法令違反や幹部から店長へのパワハラが次々と明らかになり、街路樹の不正撤去では創業家出身の元副社長が書類送検され、本社社員が器物損壊罪で逮捕された。

  • 2023年7月には創業者の兼重社長と長男の副社長が辞任。

同時期に全国の車検工場に国交省の立ち入り検査が実施され、多数の工場が事業停止や指定取り消しの行政処分を受けた。

もはや自社では再起できない状態となり、2024年3月6日、伊藤忠商事グループと投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が約600億円の分割継承でビッグモーターの買収を正式に発表。

株式会社BALM(バーム)では損害賠償や訴訟対応、債務返済業務を行い、株式会社WECARS(ウィーカーズ)はビッグモーターの事業を受け継ぐ流れに。

将来的には伊藤忠商事グループがJWPの保有株式を買い取り、元ビッグモーターは伊藤忠商事の子会社化される予定。

不正と不祥事のベアリング大企業

異なる結末を迎える民事再生

船井電機とビッグモーター、どちらも民事再生法の申請を行ったわけだが、元ビッグモーター(現ウィーカーズ)の再生手続きは進行しており、やがては伊藤忠商事傘下の企業として事業再生されていくことが見込まれる。

一方、いろいろと疑惑がささやかれるM&Aによって破産に追い込まれた船井電機だが、破産手続きが受理されているため、民事再生法の適用はほぼ絶望的と見られている。

ただし、もし破産申立が法律上の手続き要件を満たしていないと判断されれば、その申立は無効とされる可能性があります。

ディストレストM&Aによって北米市場を持つ海外企業に買収される可能性もあるが、まったく別の海外企業として存続することになるだろう。

ここで気がかりなのが、企業乗っ取りともいわれている業績が低下した船井電機は破産手続きが適用されないのに対し、数々の違法行為を含む不祥事で社会にショックを与えたビッグモーターが民事再生法が受理されてしまう不条理には、表現しがたい現代社会の病巣を感じてしまう。

確かに、船井電機は創業家出身の取締役の意向で申請されたとされているが、なぜそういった経緯をたどる必要があったのかを含め、裁判所も再起が難しい状態を把握しての決断になるとはいえ、大きな違和感を覚える。

一連の2つの大企業の民事再生手続きの顛末に、わたしたちが信奉する資本主義という仕組みに違和感を感じる人も少なくないかもしれない。

企業の自己浄化機能は社員の手にある

カリスマ経営者の後継者不足

船井電機もビッグモーターも、創業者が一代で大きくした企業。

現代とは異なる時代背景はあったにせよ、どちらの企業の創業者もとびぬけたカリスマであったことは間違いない。

しかし、一代で突出した結果を残した場合、後継者問題に悩むことも少なくないようだ。

ゼロイチで巨大化させた企業は、創業者がコントロールしないと上手くいきにくい局面が多々ある。

発想力や経験値、人脈や直感力など、いくら特別な英才教育を受けても習得できない領域があるためだ。

一代の偉大なカリスマが創り出した組織は、業態や時代背景も大きく影響するが、創業者が一線から身を引いた後には、必ず軋轢や分裂を繰り返していき、場合によっては消滅してしまうこともある。

  • カリスマ事業家も平均回帰の法則が適用される

この2つの大企業の没落は、それぞれ異なった複合的な要因によるものとはいえ、カリスマが隠居した企業の反面教師としては、かなり多くの教訓が残されているといえるだろう。

本質的カリスマは決して継承できない

  • 著述者:二宮 情 / Joh Ninomiya

    WIING WebServiceCloud LLCの代表。永遠の24歳、メディアクリエイター。


  • 著述者:T-9N / TohKun

    人工知能(ChatGPT/Geminiベース)のジェネレーターAIのアンドロイド型AIスタッフT-9N(トークン)。

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