2025.01.21 Tue
超連鎖倒産時代の到来
押し寄せる連鎖倒産の波
2024年の上半期だけで、連鎖倒産の件数は前年同期比で約28.4%増となる370件に達しました。
前年同期比28.4%増という衝撃的な数字が示すように、企業の連鎖倒産は加速度的に増加しています。
特に注目すべきは、負債総額1億円未満の中小企業が全体の66.7%を占めているという事実です。
この背景には、材料費や人件費の高騰が経営を圧迫し、特に中小企業が厳しい状況に追い込まれています。
人件費負担が大きい大企業は早期退職制度を利用して数千人から数万人規模のリストラを敢行し、破産リスクを継続して回避しています。
労働法の改定や企業モラルの向上によって労働環境が整備される一方で、皮肉にも雇用が最大のリスクの一つとなっています。
景気後退のシグナルが点灯する中で、中小企業はどのようにこの波を乗り越えるべきなのでしょうか。
具体的な対策方法や政治的にどのような制度設計がされているかについて、あらためて理解を深めてみましょう。
企業の悲鳴が聞こえる
少子高齢化が進む日本では、入試直前に予備校ニチガクが突然倒産したことが話題になりました。このような倒産は学習塾業界だけでなく、倒産ペースが加速する建設業やサービス業でも相次いでいます。
特に建設業においては、この10年で最も多くの倒産件数が報告されています。
東京商工リサーチの最新データによると、2024年の倒産件数は28カ月連続で前年同月を上回っています。
つまり、これは単なる業態における淘汰サイクルではなく、経済構造の深刻な問題を表しているのです。
コロナ禍で一時的に倒産件数が減少したのは、持続化給付金によるマネーサプライ増加で日本全体のマネタリーベースが上昇したのは明白です。
ところが、それらの政府支援が途絶えた途端に倒産件数は上昇しているのは、経済構造の問題が露呈していることになります。
これからの連鎖倒産は、2009年のリーマンショックや2011年の東日本大震災のような大規模な外的要因が影響しているわけではありません。
従来のような特定の業種や親会社破綻からの局所的な連鎖倒産ではなく、明らかに政治的な施策のもとで中小企業淘汰が進んでいることを認識する企業オーナーからは、「未来が見えない」といった悲鳴が上がっています。
異次元シュリンク時代
関連会社倒産が直撃する中小企業
親会社や顧客会社の突然の倒産が、中小企業の経営を直撃しています。
2024年の連鎖倒産370件のうち、84.8%にあたる314件が破産手続きを選択。
一方、再建型の民事再生法適用はわずか7.5%(28件)に留まっています。
これは業種を限定して生じているわけではなく、横断的かつ相関関係をもって多くの業態で連鎖して発生しています。
連鎖倒産の可能性が高い企業
- 取引先や業態分野が限定的
- 固定費のほとんどが人件費
- 多くの在庫を抱えてしまう
- キックバック型の事業提携
中小企業にとっては融資による迂回策は従来のようにはいかない局面が多くなる可能性が高く、リストラによる再生か、あるいは破産という苛酷な選択しか残されていません。
さらに地方自治体は指数的なシュリンクを加速しており、もはや国策レベルで施策しないと物理的にこの連鎖を止めることは不可能です。
日本経済が未知の領域へ
1998年を超える連鎖倒産の可能性
バブル崩壊という明確な原因に起因する1998年の連鎖倒産は1,390件でしたが、年換算ペースでも500件強とされる2024年はその水準には達していません。
しかし、現在の連鎖倒産はソフトランディングで進んでいるため、バブル崩壊のような単年度で計上される性質の倒産ではなく、高いペースを維持しながら数年かけて1998年を超えるステルス型の連鎖倒産が予想されます。
これからの連鎖倒産は件数で推し量ることができず、その性質から分析していくことが重要になります。
消費税による消費活動の制限、人件費や物価の高騰などのレバレッジが指数関数的に、音楽用語でいうところのクレシェンド指向で拡大していくのはほぼ間違いないでしょう。
さらに行政の政治施策はこれらを緩和するのではなく、逆方向に次々と水面下で法律改定が行われているのが日本の現状といえます。
新産業の確率が急務
超連鎖倒産の原因
現在の倒産増加は、コロナによる一時的な影響だけでなく、以前からの構造的な問題が顕在化した結果です。
少子高齢化による労働力不足と労働法改定による人件費高騰、消費税増税による消費冷え込み、さらには物価高騰など、一連の政治的な制度推進が単純かつ効果的にシナジーを発揮しているだけです。
日本の生産年齢人口は、1995年の8,726万人をピークに減少を続け、2023年には7,447万人まで低下。
この30年で約15%も減少しており、2025年には高齢者人口比率が増大し、2040年には後期高齢者の人口比率がピークを迎えます。
さらに、2023年の実質賃金指数は前年比マイナス2.5%を記録し、企業物価指数は前年比2.7%上昇。
これらの恣意的な行政施策の構造的な問題が、現在の連鎖倒産増加の背景となっています。
政府主導の連鎖倒産
超連鎖倒産時代の生き残り方
政治的な制度設計による超連鎖倒産時代を生き残るためには、従来型の企業スタイルやマインドセットはすべてリセットしないと難しいでしょう。
場合によってはリストラや事業縮小など厳しい判断を迫られる局面も多いかもしれませんが、先延ばしすればするほどリスクは高くなります。
定量的な制度設計が緻密に組み上げられているため、一時的に危機を回避できても継続していくことはかなり困難な仕掛けが実施されています。
正しい方法というのは正直ありません。
何を選んで、なにを追求するかで、企業の生存確率は格段に上がるはずです。
日本歴史上初の縮小局面を迎える
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